ミュータント・メッセージ
マルロ・モーガンさんという白人女性が書いた『ミュータント・メッセージ』という本を読みました。
ミュータント・メッセージ/マルロ・モーガン 小沢瑞穂訳
1999年初版発行/213ページ
【目次】
招待されて/待ち受けていたテスト/自然の靴/いざ出発/ハイになる/晩餐会/社会保障ってなに?/コードレスフォン/奥地のための帽子/宝石/グレービー/生き埋め/癒し/トーテム/鳥の群れ/裁縫/音楽のメディシン/夢の狩人/びっくりディナー/チョコレートがけの蟻?/先頭に立つ/私の誓い/明かされた夢の時代/記録の保管所/任命されて/ハッピー・アンバースデー/押し流されて/洗礼/解放されて/ハッピー・エンディング?
この本は現在新たな出版はしておらず、私もいろいろ探してやっと読むことができた本です。
でも苦労して手に入れる価値のある本だと感じました。
物質文明に囚われている現代人の私たちには到底想像も及ばない、新鮮な視点を味わうことができるとても面白い本でしたのでご紹介させていただきます。
(ネタバレ部分もありますので気になる方は目次から直接感想へお進みください。)
受賞式
主人公のマルロ・モーガンさんはアメリカ出身の鍼灸を行う医師で、新たな可能性を感じ期間限定でオーストラリアへ移住します。
そこでオーストラリアの先住民のアボリジニに対する支援を行い、それが評価されたことを受けてアボリジニの先住民から光栄な『招待』を受けます。
単純に受賞式と勘違いした彼女はスーツやバッグを新調し受賞式へと向かいます。
ところがそれは我々が思う受賞式とは全く違うものでした。
大陸横断の旅
まず初めに数々の試験が行われ彼女は晴れて合格します。
服は燃やされ、半分拉致のような形で放浪の旅へ出発することになります。
しかし、善良な目で悪意は全く感じられない彼らに最初は抵抗を感じたものの、結局は素直についていくことにします。
文明とはかけ離れた生活を行う彼らの行動は驚くことばかり。
たとえばハエの大群に遭遇した時。
現代人であれば逃げ回りますよね。
ところが彼らは違います。
宇宙のあらゆるものには目的がある。突然変異や偶然はありえない。ただ人間が理解できないことがあるだけだ。あなたはブッシュ蠅を悪者だと信じている。だから蠅はあなたにとって悪者となる。だが、それはあなたに大切な理解と知恵が欠けているためだ。蠅は耳の中にもぐって寝ている間についた砂や垢を掃除してくれるんだよ。われわれの嗅覚がすぐれているのは知っているだろう?そう、蠅は鼻の掃除もしてくれる。
ミュータント・メッセージ マルロ・モーガン著 86ページ
<真実の人>族はただじっと立ってハエの大群にされるがままです。
そこで蠅たちが体をキレイにしてくれるのを待っています。
私は昔ダイビング中に海の中の『クリーニングステーション』と言われるところででいろいろな魚たちがクリーニングされているのを見ました。
ホンソメワケベラやオトヒメエビが魚の体についた寄生虫や古い皮膚をキレイにしてくれているんです。
普段はどう猛な巨大魚もそこでは気持ちよさそうにクリーニングされていました。
魚はいいなーって思いながら見てましたが、我々人間にもクリーニングしてくれる仲間がいたんですね!
(いや、でも想像するだけでゾッとしますが(>_<))
彼らは砂漠の中でもわずかな水の場所を突き止めることができます。
人間に本来備わっているダウジング能力が優れているのです。
動物の膀胱を持ち歩いていますが、湧き水を飲みつくすということはせず、必要な量だけ汲み取ります。
また水を汲むときも自分の匂いをつけないように他の動物へ配慮します。
この部族は食料を持ち歩かない。作物を植えたり収穫したりしない。その日の糧は宇宙から与えられると確信して焼けつくオーストラリアのアウトバックを歩くだけだ。宇宙が彼らを失望させたことは一度もなかった。
ミュータント・メッセージ マルロ・モーガン著 68ページ ※アウトバック=オーストラリアの砂漠を中心とする内陸部
彼らは食料を持ち歩きません。
ここが頭をガツンと割られるような衝撃を受けました。
普通に大陸横断となればたくさんの食料を持ち歩こう、と考えますよね。
でも彼らは食料は天から自然に与えられると宇宙を信頼しているんです。
確かに、そう考えればそうかもしれません。
日本なんて周りは海に囲まれているので海で魚を取れば食べることができるし、畑で野菜を育てれば食べきれないほどの量が取れます。
山にはいろんな果実が生えているし、飲み水は軟水で飲みやすい。
実に自然の恵みにあふれています。
それなのに私たちは便利な家電や立派な家や車を買うためにあくせく、あくせくと働いています。
本当にそこまで働く必要があるんだろうか?
一度自問自答してみるのもいいかもしれません。
本では一同が様々な”食べ物”に出会い、多くの食糧を持ち歩かずに3カ月の旅を続ける様子が書かれています。
本当に衝撃的です。
本来の癒しとは
他にも衝撃的な出来事が起こります。
<石探し名人>といわれる30代ぐらいの男性が切り立った崖っぷちから転落してしまいます。
数人が駆け寄りリレー方式であっという間に上まで引き上げますが、傷口からは骨が見えるほど複雑骨折をしています。
<呪術師>と<女の癒し手>が彼の横に立ち癒し始めます。
<呪術師>は骨折した足の数センチ上で両手をかざし、左右にそっとすべらせた。最初は両手をそろえて動かしていたが、つぎに片手を右から左に、もう片手を左から右に交差させた。~中略~骨折した傷口に触れずに手を上下に動かすのは、折れる前の健康な足の形をなぞっているのだと説明された。そうすると治療している最中も腫れ上がらないという。<呪術師>は骨に元の健全な状態の記憶を呼びもどさせていた。そうすることによって、三十年あまり納まっていた場所から真っ二つに折れて飛び出した骨のショックを和らげることができるという。彼らは骨に”話しかけて”いた。
つぎに、このドラマの三人の主役ーあおむけに横たわる怪我人、その足元の<呪術師>、傍らにひざまずく<女の癒し手>ーはいっせいに祈るような口調で話しはじめた。<呪術師>が両手で怪我人のくるぶしを握るようにしたが、実際に触れたり引っ張ったようには見えなかった。<女の癒し手>は彼の膝のあたりで同じしぐさをした。彼らはてんでに祈りとも歌ともつかない言葉を口にしていたが、ある時点で同時に声を張り上げてなにか叫んだ。なんらかの形で牽引したのだろうが、私にはまるでそうは見えなかった。飛び出した骨が傷口から引っ込んで元の場所に納まった。<呪術師>がぎざぎざの傷口をつまんで<女の癒し手>に合図すると、彼女はいつも持っている袋から奇妙な長い筒を取り出した。~中略~それは女たちの月経血の塊だった。
その日<女の癒し手>は筒の上ではなく下を開けた。悪臭はまるでしなかった。彼女が筒の中身をてのひらに絞り出すと黒いタールが出てきた。どろっとして光っている。彼女はそれをぎざぎざの傷口に塗り込んだ。文字通りセメントでふさぐように傷口全体に広げている。絆創膏、包帯、幅木、松葉杖、縫合、そんなものはいっさいなしだ。
ミュータント・メッセージ マルロ・モーガン著 110ページ~113ページ
薬草と月経血でできた謎の軟膏のおかげで骨が飛び出るほどの骨折をしたにもかかわらず、彼は翌朝すっくと立ちあがり歩き始めます。
ここら辺はもう現代の西洋医学にどっぷりとつかっている我々には理解不能なのでフィクションということにしておきます。
でも本来の医療とは医師や看護師が患者本人の自己治癒力を信じきることが本当の医療なのではないでしょうか。
全員がリーダーである
ずっと群れについて歩いていた主人公ですが、ある日先頭に立つように言われます。
最終的には必ず誰しもがリーダーにならなければならないそうです。
直観力に優れている彼らと違い、どこに水や食料があるか分からないのに全員を歩いて導かねばなりません。
途方にくれて水も食料もなく3日も砂漠をあてもなく歩く一同。
<真実の人>族はテレパシーが使えるため、主人公はテレパシーで『助けてほしい』と頼みますが、皆微笑むだけであなたが自分で解決しなければならない、と助けてくれません。
そのとき主人公は結果的に水のありかを引き寄せることができたのですが、それが所謂『引き寄せの法則』なんです。
「水になれ、水になれ。おまえが水になれば、水は見つかるだろう」
ミュータント・メッセージ マルロ・モーガン著 161ページ
そんな言葉が頭に閃き、理屈を締め出し五感をフル活用して主人公は水を感じます。
水の匂いや感触、音などありとあらゆる水をイメージします。
そうすると不思議なことにどんなに求めても全く見つからなかった水が、砂丘の向こうのくぼみに見つけることができたんです。
これってよく言われる『引き寄せの法則』と全く同じですよね。
私たちが心を開いて与えたり受けたりすれば、すべての場所のあらゆる人々に食べ物と水がふんだんにもたらされる。
ミュータント・メッセージ マルロ・モーガン著 163ページ
自分が自分の現実を作っている。
水がない、水がないと感じると水がない現実を作る。
水を感じ、五感をフルに使ってありとあらゆる水を感じると水がある現実を引き寄せる。
この本が出版された1999年はまだそこまで引き寄せの法則が有名になっていなかったと思うのですが、この本にはすでに記されているってすごいことですよね!
宇宙の真実はどの時代でも、どの場所でも変わらない、ということですね。
人生はセルフサービスである
たくさんの目が覚めるような言葉が記されている本著ですが、その中でも『人生はセルフサービスである』という言葉が忘れられません。
だが私が目撃したのは、彼らが物欲をまるで持たずにいかに豊かな人生を生きられるかということだった。
~中略~
人生はセルフサービスだということも教えられた。自分の人生を豊かにするのは自分であり、そうしようと思えばいくらでも創造的で幸せな人生が送れるのだ。
ミュータント・メッセージ マルロ・モーガン著 133ページ
盛大なコンサートが開かれると言われましたが、そこは荒涼な大地。
当然楽器などあるはずがありません。
しかし彼らは自然の中から次々と楽器を生み出します。
丸い樽のような植物の果肉を取り出しなめし皮を張って太鼓にしたり、シロアリに食い荒らされて中が空洞になった枝から楽器を作ったりまるで手品のようです。
人間は何にフォーカスするかが大事で、ないと思えばないし、あると思えばある。
自分の人生を豊かにするのはあくまで自分自身だ、と言うことに気づかされます。
自然と調和して生きるとは
実は彼らのこの旅には深い意味があり、地球が誕生してからずっと地球と調和して生きてきた<真実の人>族ですが、もうこの荒れ果てた地球を去ろうと今後は新しい子どもを作らず最後の若い人が死んだら絶滅することを決めていました。
その彼らのメッセージをミュータント(彼ら以外の現代人のこと)に最後のメッセージを伝えるために彼女は選ばれていたのです。
彼らはアウトバックの奥地に太古の昔からの記録を残す場所を守っていました。
彼女はそこに初めてミュータントとして入ることを許されます。
自分自身が永遠の存在だとはっきり知っている彼らは特に迷いはありません。
私たちは永遠を生きる存在でこの地球にはただ立ち寄っているだけなのです。
ミュータントと彼らの最大の違いは『恐怖心』があるかどうかです。
我々はたくさんの恐怖心を持っています。
お金が無くなったらどうしよう、健康を失ったらどうしよう。
日々の仕事や雑用に追われて地球がどれだけ豊かな恵みをもたらしてくれているかに気付こうともしません。
この本を読んでいると現代人は如何に自然や宇宙と調和して生きていないのかに気付かされます。
感想
読むときもワクワクと一気に引き込まれるように読みましたが、読んだ後は少しボーっとして本の内容を消化するまで数日かかりました。
彼らの自然と調和する生き方、本来の人間の機能を最大限に活用して生きる生き方は、都会で暮らし競争に打ち勝ってドヤ顔していた私に思いっきりパンチを食らったくらいの衝撃を受けました。
この本は発表されてからフィクションだ、ノンフィクションだともめて表向きにはフィクションということで落ち着いているようです。
でもそれが何か?と思うほど宇宙の真実について詳しく書かれている本だと思います。
分かる人にはこの本の良さが分かるし、分からない人には伝わらないんだと思います。
私はミナミAアシュタールの情報で縄文時代の話が良く出てくるときにイマイチ上手くイメージができなかったのですが、この本を読んであー、そういうことか。こういう風に自然と調和して暮らしていたんだなとより理解できるようになりました。
本を読むのって凝り固まった自分のものの見方、考え方を180度変えられる出会いがあるのでやめられません。
とってもおすすめなので、良かったら読んでみて下さいね。
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