お金のいらない国
長島龍人さんが書いた『お金のいらない国』という本を読みました。
zozotownの前澤社長も愛読書にしている、という本です。
私たちが如何にお金に縛られて生きているか思考実験するのにちょうど良い本なので、ご紹介しますね♪
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
主人公はある日、『お金のいらない国』に迷い込んでしまいます。
その国には親切な紳士がいて、住む家を与えてくれたりいろいろ世話を焼いてくれます。
その国では何をするにも、何を買うにも全て”無料”です。
主人公も最初は信じられないのですが、次第に本当に全てが無料であることに気付くとしばらくはやりたいように思いつく限りのことをします。
そりゃあ、そうですよね。何を食べるにも買うにも、体験するにも全て無料だったらやってみたいと思ったことは体力の続く限り何でもしたいと思うでしょう。
人間は本当にやりたいと思っていることもお金のせいでブロックをかけていることが多いです。
あなたの余命はあと半年です。などと医者に言われて初めて自分が一番何がしたいのか考え始める、という悲劇も起こりうるのが、今の地球に生きる私たちです。
どこまで行っても、何をしても無料なのでしばらく贅沢旅行をしていた主人公ですが、ある時ふっとやり切れない気持ちが湧いてきます。
私がこんな贅沢に遊んで暮らしていられるのも、皆が働いてくれているからなんだなぁ。もし、皆が私のように遊んでいたら、誰もこんな生活は出来ないんだ。それに私は今、この世の中のために全然、役に立っていない。いくら偶然きてしまったとはいえ、ちょっと申し訳ないなあ。紳士も言っていたよな。仕事は社会への奉仕だって。やっぱり、自分も奉仕されているんだから、お返ししなきゃいけないかな。
~長島龍人著『お金のいらない国』~
そこで主人公は紳士に自分も仕事をしてみたいと頼みます。
その時の紳士の態度がちょっと面白いのです。
「そうですか。やはり、そういう気になりましたか。私は、あなたはいずれそう言ってくると思っていました。まあ、そう思えない方は、この世界には来られないのですが」
~長島龍人著『お金のいらない国』~
何だかそう言いだすのを分かっていたような風です。
そこで主人公は元の世界でしていた”広告代理店”の仕事に就きます。
でもそこでも仕事のやり方の違いにびっくり仰天します。
まず、その国ではすべての物がほぼ完璧なところまで完成しているのでほとんど新製品が出ません。
目先を変えただけではいつでも新品を買うことのできるこの国の人は誰も買わないので新製品が出るときはかなりの改良を加えた時だけ、しかも新品を買うのは使っている物が壊れた時だけです。
自分たちが贅沢をすると他の人の無駄な仕事を増やすので質の高い製品を買い長く大切に使います。
仕事を依頼する側は偉そうな態度は取らず、どの会社のCMを採用するか決めるときも決定権は広告代理店が話し合って決めます。
自分たちの案が素晴らしいとゴリ押しする人は誰もおらず、純粋に一番良かった案を採用します。
クライアントはその決定をプロの決定として信頼しているためです。
とにかくすべてが信頼で成り立っている社会なのです。
もう、読んでいて頭が吹っ飛びそうな衝撃を受けます。
・なぜ私たちは自分が一番やりたいことを我慢してやらないのか。
・なぜ私たちは次々と必要もないのに新しい商品が出ると欲しくなってしまうのか。
・なぜ仕事を頼む側と仕事を受ける側は対等なはずなのに、頼む側(お金を払う側)が偉そうな態度をとるのか。
・なぜ泥棒は存在するのか。
(すべての物が手に入るこの国には泥棒はいない)
・なぜ、貧困や暴力が存在するのか。 etc.
すべてがお金という存在に引っ張られていることに気が付きます。
でもここで出てくる当然の疑問があります。
そんな社会になったら、社会が成り立たないのではないか?
しかし、紳士はこう言います。
例えば今あなたの国で、このお金が一斉にパッと消えてしまったとしても、皆そのまま仕事を続けていれば世の中は回っていくはずなのですよ。
~長島龍人著『お金のいらない国』~
確かに金融系の仕事やお金に関係する仕事(請求書の作成と言った経理業務等)は無くなるかもしれません。
しかしその仕事に就いていた人も別の仕事に就けば問題ありません。
その世界では全員が純粋にお互いに奉仕するために仕事をしているので無駄がありません。
こんな素晴らしい国が在ったらなんていいんだろうと夢が膨らみます。
そして様々な現代社会の矛盾は全てお金に絡んでいることがこの本を読むとよく分かります。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
今すぐ、お金を無くすのはもちろん難しいかもしれません。
でもそこで思考停止していては今の社会は変わりません。
昔の時代のように、お金の代わりに物々交換にする。
または自分が仕事をした分だけ、他の人からも同じ価値を提供してもらう仕組みをまず作って生活してみる。
そこでうまく回っていけば徐々にお金を無くしていく。
そんなことも実は可能ではないか、と考えさせられます。
まずすべては想像することから。
思考が先、現実はあと。
とっても面白いので、良かったら読んでみて下さいね♪
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